兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県が設置した第三者調査委員会が19日午後、県代表監査委員に報告書を提出する。
第三者委は県弁護士会が推薦した裁判官出身の弁護士3人で構成。県議会の調査特別委員会(百条委)と同様に、パワハラや贈答品の受け取りなど七つの疑惑と、公益通報としての県の対応の妥当性について調査してきた。
3月にまとまった百条委の報告書は、斎藤氏の県職員への叱責が「パワハラと言っても過言ではない」と指摘。告発者を特定・公表し、懲戒処分とした斎藤氏ら県の対応は「告発者潰しと捉えられかねない不適切な対応だった」と問題視していた。
斎藤氏は記者会見で百条委の報告書について「一つの見解」と論評したが、第三者委も百条委と同様の結論を出した場合、斎藤氏や県の責任を問う声が強まるのは必至とみられる。
坂田記念ジャーナリズム振興財団(大阪市北区、赤木攻理事長)は17日、関西発信の優れた報道を顕彰する第32回坂田記念ジャーナリズム賞を発表した。第1部門(スクープ・企画報道)新聞の部で、毎日新聞社会部大阪グループ取材班(代表・近藤大介副部長)の「ダブルケア」のキャンペーン報道が選ばれた。
少子高齢化や晩婚・晩産化が進む中、子育てと介護が重なるダブルケアに直面する人が全国に推計で29万人いることを独自分析で特報したほか、重い負担と向き合う当事者たちの日常生活や切実な思いを描いた。誰の身にも起こる社会課題として警鐘を鳴らし、読者から多くの反響が寄せられた。【ダブルケア取材班】
子育てと介護が重なる状況を指す。公式な定義はなく、研究者の間では広い意味として、家庭内で2人以上の介護などを抱えている状態にも使われる。この実態と課題を調査・研究している横浜国立大の相馬直子教授と英ブリストル大の山下順子上級講師が2012年に提唱した和製英語。毎日新聞が国の就業構造基本調査を基に独自集計した結果、ダブルケアに直面する人は17年時点で全国に少なくとも推計29万3700人いることが明らかになった。30~40代の働く世代が9割を占め、女性に集中している。少子高齢化や晩婚・晩産化が背景にあるとされている。